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反社会性パーソナリティー障害

   

昨年の秋に刑事弁護人に就任した裁判員裁判につき、先日、判決の言い渡しがありました。

アパートを追い出されそうになった被告人が、前途をはかなみ向精神薬2週間分を一度に服用し死のうとしましたが死に切れず、焼身自殺を図りアパートは全焼に至りましたが、死者は出ず、被告人も一命をとりとめた、そのような事件でした。

検察側は、被告人について精神鑑定を行いました。

被告人は、よく話を聴いてくれる鑑定医を信頼し、自分の生い立ちから悩みからすべて話しました。

ところが、鑑定医の意見は、反社会性パーソナリティー障害というものでした。反社会性パーソナリティー障害という診断をされたことにショックを受けた被告人は、人間不信となって貝のように口を閉ざし、私たち弁護人との接見までも拒否するようになってしまいました。被告人に不当に貼られたスティグマが被告人の改善更生社会復帰に及ぼす悪影響は明らかでした。

私たちは、被告人のスティグマを除去すべく、パーソナリティー障害の権威である山岡昌之医師の証言によって鑑定医の証言を弾劾しました。

鑑定医は、反社会性パーソナリティー障害とまでは言えなくとも非社会性パーソナリティー障害であると途中変説しましたが、裁判員は、私たち弁護人と山岡昌之医師の意見を全面的に採用し、反社会性パーソナリティー障害でも非社会性パーソナリティー障害でもないと判断しました。

 

 

 - 刑事解決事件, 刑事弁護人

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